ERPC、Solana gRPCダッシュボードを刷新。ping値可視化により通信品質と改善余地を直感的に把握可能に

ERPC、Solana gRPCダッシュボードを刷新。ping値可視化により通信品質と改善余地を直感的に把握可能に

2025.10.20
ELSOUL LABO B.V.(本社:オランダ・アムステルダム、代表取締役CEO:川崎文武)と Validators DAO は、Solana gRPC ダッシュボードの全面刷新を実施しました。
今回のアップデートにより、ping 値をもとにした通信品質の可視化が可能となり、ユーザーが自身の環境におけるネットワーク性能や改善余地を直感的に把握できるようになりました。ping ベースの自動ルーティング導入に続くこの改良により、Solana ネットワーク接続の最適化がさらに容易になっています。

背景

これまで ERPC では、登録された IP の位置情報をもとにエンドポイントとの直線距離を推定し、地域ごとの接続先を表示していました。
しかし、IP 情報はベンダーやルーティング構成によって誤差が生じることが多く、実際の通信経路を反映していないケースもありました。
例えば、東京から大阪への通信が国内接続のように見えても、実際には東京–ロサンゼルス–大阪という経路を経由している場合があり、想定以上の遅延を引き起こすことがあります。
このように、地図上の距離とネットワーク上の距離は必ずしも一致せず、特にブロックチェーンのようなリアルタイム性が求められる通信では、レイテンシの把握が極めて重要です。

ダッシュボード刷新の概要

gRPC Dashboard
新しい gRPC ダッシュボードでは、ping 値を基準にした通信品質が色分けやアイコンで直感的に可視化されます。
登録された IP は自動的に全リージョンから ping 測定され、結果がダッシュボード上にリアルタイムで反映されます。
これにより、ユーザーは「どのリージョンが最も低レイテンシか」だけでなく、「現状がどの程度最適化されているか」「さらに改善の余地があるか」を一目で確認できます。
たとえば、通信がすでに 0.5ms 未満であれば理論的な限界に近く、最適な環境で動作していることを意味します。一方で、10ms 以上のレイテンシが表示されている場合は、より近距離のリソースを探すことで性能を向上できる可能性があります。
このように、今後の改善に向けた明確な指針を得られるのが、新ダッシュボードの最大の特長です。
また、ping ベース自動ルーティングにおいては、ping が通らない設定の場合に遠距離リージョンが選ばれてしまう課題がありました。 今回、すべての共有エンドポイントの IP をホワイトリスト用として公開し、ping 計測と接続選択を正確に行えるようになっています。これらのエンドポイントは堅牢な nftables 設定により保護されており、登録済みユーザー以外からの通信はすべて遮断されるため、安全に運用できます。

技術背景とパートナー協力

ping は実際の通信経路を最も正確に反映する実測指標です。ERPC はグローバルに配置されたリージョンから登録 IP へ定期的に ping 計測を行い、その結果を集約して最短経路を自動判定しています。この仕組みは、Solana ネットワーク全体の通信効率を高めるだけでなく、分散的な負荷分散にも寄与しています。
また、ERPC は DoubleZero や PNI(Private Network Interconnect)を積極的に活用し、主要 Solana バリデータおよび Jito Block Engine ネットワークとの間で 0.2ms 未満の接続を実現。
各地域の信頼できるデータセンターパートナーと協力し、CPU のフルターボ解放とそのために十分な冷却設備耐性やネットワークスイッチ構成など、物理・論理両面で最適化を進めています。

将来的な価値とリソース希少性

ERPC が採用する高品質なネットワーク環境や近距離データセンターは、Solana 専用線(DoubleZero など)やその情報の普及とともに今後ますます希少化していくと予測されています。
物理的な近距離リソースは今後プレミアム化が進み、確保が難しくなることが見込まれるため、現在は高性能環境を確保できる貴重な時期といえます。
アプリケーションの性能を最大限に引き出すためにも、早期導入をおすすめします。

Solana RPC Bundle プラン

Bundle Plan
Bundle プランは、RPC・gRPC・Shredstream の 3 方式をひとつにまとめて利用できるパッケージです。
既に RPC や gRPC を利用中のユーザーは、Bundle に移行することで Shredstream を追加費用なしで利用でき、本番環境の柔軟な検証や性能テストにも最適です。
gRPC で安定稼働するアプリケーションをそのまま維持しながら、Shredstream を活用した高速化に段階的に移行することができます。
開発・運用の両面で実戦的な構成を実現する、Solana プロジェクト向けの標準プランです。
導入や移行のご相談は Validators DAO 公式 Discord より受け付けています。

Premium Ryzen VPS

Premium Ryzen VPS
ERPC と同一ネットワーク内で動作する Premium Ryzen VPS は、世界最速の 5.7GHz 高クロック CPU、ECC DDR5 メモリ、NVMe4 ストレージ、25Gbps ×2 のネットワークを備えています。
オーバーコミットを一切行わない設計により、仮想環境でありながらベアメタル級の処理性能を実現します。
Jito Shredstream や主要 Solana バリデータと同一データセンター内に配置するゼロ距離構成により、インターネット経由の遅延を排除。
計算性能と通信性能を両立したこの構成は、すでに多くの開発者から高く評価されています。

ERPC、Validators DAOが解決する課題

  • RPC環境で発生しがちなトランザクション失敗やレイテンシ変動
  • 多くのインフラプロバイダーによる性能制限
  • ネットワーク距離が通信品質に与える影響の大きさ
  • 小規模プロジェクトほど高品質インフラへアクセスしづらい状況
私達は、オープンソース開発を支援する Solana NFT カードゲームプロジェクト Epics DAO の開発過程で、
高品質かつ高速な Solana 開発環境が容易に手に入らないという課題に直面しました。
そこで独自のプラットフォームを構築し、その知見を基盤として ERPC や SLV を提供しています。
金融分野のアプリケーションは特にミッションクリティカルであり、遅延やエラーは直接ユーザー体験に影響します。
分散したバリデータや Web3 特有の構造が重なり合う Solana 開発では全体像の把握が難しく、多くのプロジェクトが遅延や不安定さに悩まされてきました。
私達は必要とされる高性能な開発基盤を提供し、Solana エコシステム全体の開発体験とユーザー体験の向上に貢献していきます。
ERPC も SLV も、その一環として位置付けています。